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5話 親友にも言えない秘密

ผู้เขียน: 鈴奈
last update วันที่เผยแพร่: 2026-02-16 20:00:08

『か……か⁉ か、か⁉ か⁉⁉ かれ⁉ え⁉』

「待って! ちがっ、ちがくて……‼」

 みりんちゃんが、私と彼をすごい速さで見比べる。違う、という私の言葉は全然届いていない。

 私はパニックになりながら、はっとした。

 お母さんがつくった、AI搭載人造人間。

 その事実は、絶対言っちゃいけないんだった。すっかり忘れて、何もかもしゃべっちゃうところだった……。

『ゆう⁉ ねえ、彼氏ってまじのカレピ⁉ どういうこと⁉ カレピってどういうことだっぴー⁉⁉」

 混乱を通りこし興奮したみりんちゃんが、充血した目を爛々とさせて、画面いっぱいに詰め寄ってくる。

 どうしよう……! なんて説明したら……!

 いとこ? は、いないって言っちゃってるし。

 親戚の子? もだめだ。

 友達? なわけないし……。

 ……もう、分からない!

「ごめん、またね‼」

 勢いで、みりんちゃんとの通話を終了にした。

 しん、とした静けさを破ったのは、彼だった。

「朝ごはん、どうしたい? 好きなものをデリバリーしてもいいし、どこかで食材を調達してつくってもいいし~」

「いいいいらないですっ!」

「了解〜! 食べたくなったら言ってね~」

 パタンと扉が閉まって、一気に脱力した。

 ヴッ! ヴッ! と矢継ぎ早にみりんちゃんからメッセージが届く。

『ちょっとちょっとちょっと⁉』

『なになに、カレピって! どゆこと⁉ いつ⁉ いつのまに⁉』

『しかもイケメンじゃない⁉ ギャーーーー‼』

『ハルト似の可愛い系って感じ⁉ でもハルトあんまじゃなかった⁉ 推し、ジャスティンじゃん! 真逆!』

『ちなみにプリパレ新作、ジャスティンも最高のシナリオでした〜〜⭐︎ 早くやってホシ⭐️』

『リア充になったからやりませ〜ん⭐️ とは言わせないぞっ⭐️ 言ったら爆破する』

『あれ、ってか今思ったんだけど、あの彼、大学の近くにあったハーベストカフェの店員さんじゃない? あそこで再会してLOVE❤️的な感じ⁉』

『もうまじで気になる木! 近いうちに会お⭐️』

 なんて返そう……。本当のことは言えない。でも、みりんちゃんに嘘はつきたくないし……。

 考えても考えても分からなくて、「えーん」って泣き顔のクマのスタンプを送った。

 本当に、どうしよう……。誰にも相談できないし……。

 もう一回お母さんに話して、やめてもらうようにお願いするしかないかな……。

 そう思って電話をかけたけど、出なかった。お父さんも、出ない。

 時刻は午前九時。アメリカは十五時間時差があるから、二十時になるところだと思う。出られない時間じゃないとは思うけど、忙しいのかな……。

 行き詰まって、ぱたんと、ベッドに倒れた。

 じっと目をつむっていると、眠れそうな感じもしたけど、頭が冴えてしまっている。

 ふと、プリパレやろうかな、と思いたった。

 飾り棚の一角に飾ってあった、プリパレ最新作のパッケージとゲーム機を手に取って、ベッドに戻る。

 プリパレは、『プリンスパレード!』の略称。四人の王子様と恋愛することができる乙女ゲーム。二〇〇〇年代頃に流行した作品で、七年前に復刻版が出た。全部で十シリーズあって、毎年一シリーズずつリリースされている。

みりんちゃんにおすすめしてもらって一作目をプレイして以来、とてもロマンチックで、幸せな気持ちになれるシナリオで、ハマってしまった。

 みりんちゃんは、転校先で出会った小学一年生の時からアニメとゲームと漫画とイラストが大好きで、私によくおすすめを教えてくれた。はじめは男の子が出てくるものは怖いと思って、見るのを躊躇っていたけれど、みりんちゃんに腕を拘束されて無理やりアニメを見せられた時、アニメとかゲームとか漫画とか、そういういわゆる二次元の男の子は大丈夫だということが分かった。

 それからいろんなものに一緒にハマって、七年前から二人でどっぷりハマっているのが、プリパレ。自分好みのAIと恋をするのが主流なこの時代で、シナリオのある乙女ゲームをやる人は、そう多くない。AIに比べたら、リアリティさがないから、だと思う。そのため、“オタクの趣味”というイメージが強く、少し引き気味に見られてしまう。

だけど私は、夢を見ているような気持ちになれるから好き。キャラクターたちの甘い言葉を聞くだけで、疲れていても、もやもやして落ち込んでいる時でも、心がほぐされて、キラキラした気持ちになれる。

 それは、キャラクターの魅力もあるのかもしれない。

 みりんちゃんの推しは、レント。主人公の幼馴染で、典型的な王子様っていう感じのキャラクター。だけど嫉妬するとちょっと病んじゃう。みりんちゃん曰く、そこが可愛いらしい。

 私の推しは、ジャスティン。褐色肌の南国の王子様で、主人公より年上。クールで無口で、最初は怖い印象だったんだけど、話が進むたびに、やさしさが見えてきて……。

 そのギャップに、私の心は堕とされていた。

 ――実は、小学一年生の時、帰り道に男の子たちに絡まれた話には、続きがある。

 クラスの男の子が、私に向かって腕を振り上げ、私が目をつむって体を硬くした後。

 ゴンッという音が、少し前から聞こえた。私の体に痛みはなかった。

「なんだお前!」

「やめろよ! うわあっ!」

 男の子たちの悲鳴が聞こえる。パタパタと走り去っていく音が遠くなる。

 私は怖くて怖くて、ずっと体を硬くしていたけれど――ふと、「ゆう」と呼ぶ、やさしい男の子の声が聞こえた。

 そっと目を開けると、小さな手のひらが、私に向けられていた。

「大丈夫だよ、ゆう。俺がゆうを、絶対守るから!」

 顔は見ることができなかったし、いつのまにかその子はいなくなっていた。

 だけど、男の子を怖いと思いながら、ゲームやアニメのキャラクターのやさしいところに惹かれてしまうのは、あの男の子がやさしくしてくれたからだと思う。

 すべての男の子が怖いんじゃない。あの男の子みたいに、やさしい子だっている。怖い人ももしかしたら、あの子みたいなやさしさをもっているのかもしれない。それこそ、ジャスティンみたいに、怖さの奥にやさしさを秘めているのかもしれない。

 本当は、ちゃんとそう信じたい。

 だけど信じきれないのは――あの時、あの子の顔を見られなかったのは。

 ただ、私の勇気がないから……。

 ピンク色のゲームチップを入れて、起動する。

 スタート画面の集合絵の美しさに、ほうっとため息をつく。スタートボタンを押すと、プレイキャラクターの選択画面に移った。

 ジャスティンの隣の、ハルトに目が留まる。

 ピンク色の髪に、ふわふわしたやさしい笑顔。年下の、天使みたいな王子様。嫌いなわけじゃないけど、彼との恋の物語は、ちょっと夢っぽすぎて、敷居が高かった。

 ……みりんちゃんが言ってた通り、彼と、ちょっと似てるな……。

 ほんの少しだけ迷って、ジャスティンのアイコンをタップした。

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